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パルコ・プロデュース公演いのうえmeetsシェイクスピア「リチャード三世」 古田新太、安田成美、榎木孝明、天宮良、川久保拓司、森本亮治 [演劇]

【物語】
 15世紀のイングランド、ランカスター家とヨーク家が王位継承を争う薔薇戦争は、ヨーク家が勝利し、エドワード四世(藤木孝/久保酎吉)が即位した。しかし、弟のグロスター公リチャード(古田新太)は独り野心を募らせる。
 まず、リチャードは“G”が頭文字の人間が王に災いをなすという「予言」を流布、かねてより、国王や王妃と不仲な次兄クラレンス公ジョージ(若松武史)をロンドン塔に幽閉し、さらに刺客(河野まさと、村木仁)を送り込み殺害させる。
 続いて、リチャードが殺した先王ヘンリー6世の葬儀で悲しみに暮れる皇太子未亡人アン(安田成美)の前に姿を現す。アンは義父と夫を殺したリチャードに侮蔑の言葉を浴びせるが、リチャードの巧みな甘言に騙され、彼との結婚を承諾してしまう。
 国王不在の宮廷で、王妃エリザベス(久世星佳)、その兄リヴァース伯(天宮良)、王妃の連れ子ドーセット侯(森本亮治)らと、王妃一族とは不仲のヘイスティングズ卿(山本享)、バッキンガム公(大森博史)、リチャードらがいがみ合う中、先王妃マーガレット(銀粉蝶)が現れて、人々に死の予言と呪いの言葉をかける。
 病床の王エドワード四世は、一度、処刑を命じたものの、後に赦免すると決めていた弟のクラレンス公が自らの命令により既に殺害されていたことを知り、強い衝撃を受け,悔い入りながら、この世を去る。
 エドワード四世の死を嘆き悲しむ王妃エリザベスと、その悲しみの生みの親は自分であると、訃報の知らせを嘆き悲しむ王母・ヨーク公夫人(三田和代)。
 王位継承者である皇太子エドワードと弟のヨーク公が戴冠式のためロンドンに戻って来る。リチャードは甘言を用いて、この幼い兄弟を母エリザベス后から引き離し、ロンドン塔に幽閉してしまう。また、王子らの後見人である侍従長のへースティング卿をも亡き者にする。
 その上で、バッキンガム公と策略を巡らせ、ロンドン市長(礒野慎吾)らに、エドワード四世と王妃エリザベスとの結婚は無効であり、二人の王子たちは正当な王位継承者ではないと主張し、念願の王位を獲得する。
 国王“リチャード三世”となったリチャードは王位安泰のため更なる策略を巡らす。バッキンガム公には二人の王子たち殺害を命じ、さらに彼は王妃アンが重病で死の床についているとし、エリザベスに彼女の娘とリチャードとの結婚を承諾させる。
 リチャードの冷たい仕打ちにバッキンガム公も自らの身の危険を感じ、謀反をおこすが、鎮圧され、処刑される。
 また、フランスに亡命していたランカスター家の王位継承者リッチモンド伯(川久保拓司)も、義父スタンリー卿(榎木孝明)の秘かな援助を受けて、ドーセット侯(森本亮治)らとともにイングランドヘ攻め込んでくる。
 イングランド各地でも反乱が起こり、リチャードは亡霊にも悩まされる。
 そして、ついに、リチャードはリッチモンド伯と戦い、腹心のケイツビー(増沢望)、ラトクリフ(西川忠志)らとともに殺される。リッチモンド伯は国王ヘンリー七世となり、ここに薔薇戦争が終結する。

【日程】 2009年1月19日(月)~2009年2月1日(日) 全17回公演
【料金】 S席¥10,000 A席¥8,000 (全席指定・税込)
【出演】 古田新太、安田成美、榎木孝明、大森博史、三田和代、銀粉蝶、久世星佳、山本亨、天宮良、増沢望、西川忠志、川久保拓司、森本亮治、逆木圭一郎、河野まさと、村木仁、礒野慎吾、吉田メタル、川原正嗣、藤家剛、久保酎吉、若松武史
【翻訳】 三神勲
【演出】 いのうえひでのり
【企画・製作】 株式会社パルコ
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【感想】
 いのうえひでのりさん演出、古田新太さん主演による初のシェイクスピア劇「リチャード3世」です。また、安田成美さんは11年ぶりの舞台出演です。

 冒頭の独白シーンでは、グロスター公リチャード(古田新太)がのっけからド派手な衣装で登場し、マイクorボイスレコーダーに向かって喋ります。リチャードの言葉は、もぞもぞして聞き取りにくいのですが、舞台上に、いくつも設置されたディスプレイに字幕が表示されます。
 さらに、クラレンス公ジョージ(若松武史)を引っ立てる兵士の姿は防毒マスクに自動小銃という出で立ちで、「装甲騎兵ボトムズ」か何かを思わせ、とても中世イングランドの歴史物語には見えません。

 ここまで観ただけでは、古典演劇を現代風にアレンジしたのかと思いますが、ストーリーそのものは至ってオーソドックスな内容です。上演時間の関係で省略しているところはありますが、割と原作に忠実に話は進みます。死んだはずの人が生き返ったり、原作に無いヒーローやヒロインが登場したりすることもありません。

 その一方で、古田新太さん演じるリチャード3世は、馬の代わりに電気三輪車?に乗って登場したり、紅白の小林幸子さん並みの女王様のよう衣装で戴冠式に臨んだりします。本来は陰湿な悲劇の筈の「リチャード三世」ですが、全体にコミカルなエンターテイメントに仕立て上がっていて、イングランドの歴史やシェイクスピアを知らない人や、初めてシェイクスピアを観る人でも楽しめるような内容になっています。

 川久保拓司くんは純白の衣装で、悪のリチャードを倒す正義のリッチモンド伯を演じます。他のキャラクタが原色使いの派手なものなので、ちょっと異質です。
 「ハロルドとモード」で共演した西島隆弘くんから川久保くん宛に、お祝いが届いていましたが、「ハロルドとモード」の時は真っ黒な衣装の神父様でありました。

 森本亮治くんは、王妃エリザベスの連れ子、ドーセット侯です。割と地味な役ですが、異父弟の二人が殺された後、フランスに逃げて、最後は、ちゃっかりリッチモンド伯と共に勝ち組に入っています。

 榎木孝明さんは、妻の連れ子であるリッチモンド泊を秘かに助けるスタンリー卿です。身勝手で傲慢な登場人物が多い中で、比較的堅実なのですが、意外と要領は良い人物です。

 天宮良さんは、3月に脇組の「BASARA」で、日本版のマクベスを演じることになっていますが、今回はドーセット侯の伯父、リヴァース伯です。こちらも、割と地味な訳です。

 豪華俳優陣という宣伝文句ですが、割と贅沢なキャストの使い方をしていらっしゃいます。
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【余談】
 ところで、イングランドの歴史を知らなくても、されなりに楽しめるのですが、多少は知っていると、またひと味違った楽しみが出来ます。
 例えば、リチャードが口説いて、妻にしてしまう未亡人のアン(安田成美)は、日本で言うと、戦国時代のお市の方や淀君のような人物です。

 物語の中では、ヨーク家と対立するランカスター家の国王ヘンリー6世の皇太子エドワードの妻として登場するアン(アン・ネヴィル)ですが、彼女は、ただの美しい未亡人ではありません。

 アン・ネヴィルは、王を決める者(キングメーカー)と称された大貴族、ウォリック伯リチャード・ネヴィルの娘です。
 また、姉のイザベル・ネヴィルは、後にロンドン塔で殺されるクラレンス公ジョージ(リチャード3世の兄)の妻です。
 アンの父、ウォリック伯リチャード・ネヴィルは、ランカスター派として、ヨーク家のグロスター公リチャード(リチャード3世)らと戦って、既に戦死しており、その後継者は娘のイザベルとアンのみとなっていました。

 つまり、未亡人となったアンと結婚した者は、故ウォリック伯の広大な所領と財産(兵力)を継承する権利を得られるのです。
 リチャードがアンを口説くのも当然でしょうし、この権利を巡って、後にクラレンス公ジョージとグロスター公リチャードが対立し、最終的にはクラレンス公ジョージの死によって、グロスター公リチャードがキングメーカーの地位を継承して、兄の国王エドワード4世をも凌ぐ力を得ることになります。

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